DAY244 エジプト 〜王家の谷・ツタンカーメンの墓で許せなかったこと。ルクソール西岸の観光〜
朝起きたのは6時。
場所はナイル川のほとりに建つ、エジプト・ルクソールの宿。
静かなナイル川の岸辺を散歩します。
今日の目的は、ルクソール西岸の観光。
東岸と西岸に二分されています。
日が沈む西岸は、古代エジプト人にとって「あの世」がある場所であり、
王家の谷をはじめとする墓地が造られました。
というわけで、この記事ではルクソールの「西岸」の観光について書きます。
「東岸」の観光については下の記事にまとめました。
DAY243-244 エジプト 〜闇夜に浮かぶ神殿が絶景!ルクソール東岸の観光〜 - 旅バカ医大生、絶景求めて世界一周。
船着き場まで行ってローカルフェリーに乗り、
対岸へと渡ります。
ルクソールでのナイル川の川幅は意外と狭く、1kmはなさそう。
フェリーはものの数分で到着。
タクシーやボートの客引きをかわし、
レンタサイクル屋を探します。
ルクソール西岸を訪れる観光客の99%はツアーバスかタクシー貸切で見て回っていますが、
バックパッカーたる者そんな高い金は払えん、
というわけでレンタサイクル。
相棒はこのオンボロ自転車。
1日借りて25ポンド(約160円)。
ぼくは実は数年前まで自転車で野宿しながら日本一周をしていました。
当時はいつか世界を旅したい、と考えていて、
結局現実的な観点から、自転車ではなくバックパッカーとしての旅を選んだんですが、
アフリカ大陸を自転車で漕ぐと、
あのころの夢が叶ったような気がします……
話を遺跡観光に戻します。
まず最初に現れたのは、メムノンの巨像。
像のそばのチケット売り場で、
次に訪れるラムセス3世葬祭殿の入場券を購入。
そして葬祭殿に到着。
まず、とてつもない規模の門がお出迎え。
昨日のカルナック神殿と同じかそれ以上の大きさ。
しかも、保存状態は抜群。
それもそのはず、このラムセス3世葬祭殿は、
保存状態が極めて良いことが特徴。
天井には極彩色の天井画が当時のまま残っています。
壁画もこの保存状態。
奥に進むと多くの部屋があり、全て自由に見ることができます。
気分はさながらインディー・ジョーンズ。
中にはミイラが安置されていたであろう墓室も。
西岸を訪れるツアーは、
次に行く「ハトシェプスト女王葬祭殿」と「王家の谷」しか訪れないものがほとんどなので、
このラムセス3世葬祭殿は観光客が極めて少なく、
ゆったりと楽しむことができます。
個人的にはかなりおすすめの遺跡。
再び自転車に跨り次に目指すのは、
ハトシェプスト女王葬祭殿。
エジプト初の女王であるハトシェプストによる建造物。
外観が近代建築を思わせるほど洗練されています。
ただ、保存状態はあまり良くなく、
多くの部分が修復されたものでした。
個人的にはラムセス3世葬祭殿のほうがおすすめです。
そして最後に訪れたのが、
ルクソールで最も楽しみにしていた「王家の谷」。
ファラオ(王)たちは、盗掘を防ぐために、
ルクソール西岸の奥深い谷に死後の安住の地を求めました。
これが有名な「王家の谷」です。
しかし金銀財宝を狙う盗賊を防ぐことはできず、
ほぼ全ての墓が略奪されてしまいました。
その中でも唯一残っていたのが、かの有名なツタンカーメンの墓。
有名な黄金のマスクを初めとした輝くばかりの副葬品で有名になったツタンカーメン王の墓ですが、
実は18歳で早世したため権力は弱く、
墓が質素だったために盗掘を免れたと言われています。
そんな権力の弱い王の副葬品ですらあれほど豪華なのだから、
盗まれてしまった強大な王の墓の副葬品はどれほどのものだったのか……
転売され、この世界のどこかにまだ残っているのか。
それとも、溶かされてただの金になってしまったのか。
想像をかきたてられます。
そんな王家の谷へと到着。
エジプトの物価からは考えられないほど高額な入場券を購入。
王家の谷に入るために200ポンド、
人数制限のされているツタンカーメンの墓に入るためには、さらに250ポンド。
計450ポンド(約3000円)。
まあ、このお金も遺跡の保存のために使われると思えば満足です。
このあと怒りを感じたことがあるのですが、その話は少し後で。
そして、ツタンカーメン王の墓に到着。
墳墓内は撮影禁止なので写真はありませんが、
思ったよりも小ぶりな墓でした。
ただ、とてつもなく色あざやかな壁画がそのまま残っており、
ツタンカーメン王のミイラもガラスケースに入れて安置してありました。
この他にもメルエンプタハ王など、3つの王墓を見て回ったのですが、
圧巻でした。
規模はツタンカーメン王の数十倍以上。
地下奥深くまで、100m以上はあろうかという長い回廊が岸壁に掘られており、
その最奥部にはさながら神殿のような空間が。
ツタンカーメンは権力の弱い王だった、という話は半信半疑でしたが、
実感として強烈に味わうことができました。
ここにはどんなお宝が眠っていたんでしょうか。
盗掘されてしまった今となっては見ることができないのが、
あまりにも残念です。
そして、先ほど少し書きましたが、
ツタンカーメン王の墓で怒りを感じたことについて。
この王家の谷は、日本政府による寄付金で整備がなされました。
碑文にも刻まれています。
ぼくは、人類共通の宝である遺跡を保護するために、
他国であれど援助するのには大賛成です。
ただ、この国では、あまりにも管理体制が酷すぎました。
ツタンカーメン王墓では、観光客が内部に入ることによって外気や粉塵が侵入し、
壁画の劣化を進めてしまうため、
1日の入場人数は制限され、写真撮影は禁止。
内部の温度や湿度は厳格に管理されています。
その設備のために多額の費用が費やされていました。
これは素晴らしいことです。
しかし。
なんと、エジプト人の係員たちはツタンカーメンの王墓の中でスパスパとタバコを吸っていました……
ぼくは嫌煙家ではありません。
場所を選べば吸っていいと思います。
そしてもちろん遺跡は、
墳墓内だけでなくその外の地域でさえ、禁煙です。
観光客も誰一人として吸っていません。
ここまで厳格に管理して保存している人類の宝を、
平気で傷つけるその考え方が許せませんでした。
日本をはじめとした他国の支援の意味が分かっているのか?
ツタンカーメン王墓の入場料は450ポンド(約3000円)。
観光客も、保存のために安くない金額を払っています。
やるせない気持ちになって遺跡を後にしました。
ルクソールの他の遺跡では、
遺跡内で通せんぼして通行料を取ろうとする現地人や、
無料のはずの資料館の建物のトイレで使用料を取ろうとする現地人で溢れかえっていました。
係員が黙認しているということは、彼らにも何割かキックバックがあるんでしょう。
遺跡は素晴らしいのに、人間があまりにも酷い。
王家の谷を後にして、
元来た道を再び自転車で帰ります。
レンタサイクルを返却し、再びフェリーで東岸へと戻ります。
今日はルクソールで過ごす最後の夜。
スーク(市場)をぶらぶら歩きます。
日も暮れてきました。
見つけたレストランに入って、エジプト料理を食べます。
テラスからは、さっきまでいたスークを見下ろすことができました。
エジプトはイスラム教国なので基本的に街中でアルコール類は販売していませんが、
レストランによっては飲むことも可能。
ご当地エジプトのステラビールで乾杯!
食後にはもう一軒ハシゴして、
久しぶりのシーシャ(水タバコ)を楽しみます。
なんやこの腹立つ顔。笑
あしたは電車に乗ってナイル川を遡り、
アスワンの街へと移動する予定。
それではおやすみなさい。